- オゾンは酸素原子3個(O3)からなる気体で非常に不安定な物質のため生成されてもすぐに分解されてしまいます。地表から15〜50km上空の成層圏に多く集まっていて、このオゾンの多い層がオゾン層です。地球をとりまくオゾン層は、太陽光に含まれる有害な紫外線(UV-B)の大部分を吸収し、地球上の生物を守っていることから、「地球の宇宙服」と呼ばれています。
- 代表的なフロンであるCFC(クロロフルオロカーボン)は冷媒、洗浄剤、発泡剤などに広く利用されてきましたが、いったん大気中に放出されると、化学的に安定した物質であるため、ほとんど分解されずに成層圏にまで達してしまいます。そこで強い紫外線を浴びて塩素を放出します。この塩素原子が触媒となり、オゾン層(オゾン分子)を連鎖的に破壊します。 1個の塩素原子によって数万個のオゾン分子が分解されるといわれています。
- その結果、地上に達する有害紫外線が増加し、皮膚がんの増加、生態系への悪影響などが生じるおそれがあります。
・オゾン層の破壊の現状
- 1980年代の初め頃に、南極上空のオゾン層が著しく減少する現象「オゾンホール」が発見されました。その後、このオゾンホールは年々拡大傾向にあります。
- 南極昭和基地上空のオゾン全量は、1980年から2003年にかけて、10年あたり6.8%の割合で減少しており、オゾンホールが発達する9〜11月の期間に限ると、10年あたり13.1%の割合で減少しています。
- 日本では、気象庁が札幌、つくば、鹿児島、那覇の計4地点でオゾン層の観測を行っており、札幌上空では、オゾン層の減少傾向が確認されています。
- 高度20km〜40km付近にある成層圏オゾン層は、太陽光のうち、有害紫外線(UV-B)を吸収し、すべての動植物を有害紫外線から保護しています。
- 一般的に、総オゾン量が1%減少すると、紫外線の照射量は1.5%増え、このため、皮膚ガンの発生率が2%増加し、白内障が0.6〜0.8%増加するといわれています。また、作物の育成や水生生物にも影響を及ぼす恐れがあります。
- 有害紫外線の地上への到達量はオゾン量のほか、季節、天候(雲量)、大気混濁(にごり)などの影響を受けるものと考えられています。